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今日では焼却システムの改良と研究を重ねながら、ダイオキシンの排出を抑える努力が進んでいる。
ごみエネルギー清掃工場を建設する際、エコロジストたちの反対にあうのはよくあることだ。
とくに、ごみの焼却に反対するドイツの「圧力団体」の力は強圧的である。
彼らは、住宅地に清掃工場を設置すれば、ごみ収集車の頻繁な往復で周辺住民に迷惑がかかるし、さながら錬金術の柑塙からでてくる煙にも似た汚染煙が蔓延するとして、これを恐れている。
一方、各都市の市長たちはニンピー症候群〔必要な施設でも「裏庭にはおことわり」とする住民感情〕に立ちむかうため、市民に対して高性能の新技術の導入を約束し、その実現に向けて努力しながら、清掃工場の近隣に住む住民には特別な措置を講じて安全を保証すると言明している。
清掃工場のなかには「外観」を重視しているところもある。
たとえば、清掃工場センターとしてフランスで四番目に設置されたパリ郊外のヴィトリー・シュール・セーヌ工場では、その設計計画において著名なデザイナー、フィリップ・スタークを起用した。
スタークは、ごみをまとめて透明な楕円形のカパーで覆い、これまでの清掃工場とは違った、いわば工場の腸が見える建築を試みた。
スタークによれば、「この建物の挑戦は、騒音、煙、スラグなどの公害に悩まされている一九世紀的焼却場にピリオドを打ち、輝かしい一二世紀を迎えるための技術にある」という。
しかし、実際には、この未来建築の逸品は周辺住民の不安を抑える役には立っていない。
ごみの焼却にはコストがかかる。
一九九四年にはトンあたり約五〇〇フランのコストがかかっているが、これは管理型処分場での埋め立て処理費や旧式のコンポスト処理費の二倍にあたる。
焼却に関する規制が厳しくなるにつれ、経費は、大気中に排出されるガスの抑制や、燃焼しにくい廃棄物の処理にあてられて増大している。
とはいえ、こうした経費の高騰と反対住民の執効な抵抗にもかかわらず、ごみ焼却はたぶん今後もほかのごみ処理法の補助役として存在し続けることだろう。
なぜなら、再利用・リサイクルやコンポストをさらに推進したとしても、現代社会では不要な廃棄物を避けることはできないからである。
たとえば、汚れた廃プラスチックは、おそらく諸々の欠点をもつリサイクルよりも焼却に適している(廃プラのリサイクルは汚れを落とすために多量の水が必要となり、その水で水質汚染を招きかねない)。
もちろん、廃棄物を何でも焼却しようとする姿勢は改めなければならない。
ごみ焼却で温められる都市一九三〇年代に入ると、清掃工場からでる熱は都市住民の快適な生活のために利用されるようになった。
フランス中東部の工業衛星都市ヴィールパンヌや、旧ソビエト連邦のレニングラードがその好例で、レニングラードでは、ごみの燃焼エネルギーを住宅の暖房用として、またクリーニング業者の熱源として利用した。
一九五〇年代には、フランスのナンシーやスイスの首都ベルンで、ごみからでるエネルギーが病院内で利用された。
一九七〇年以降には、ごみの燃焼エネルギーを回収できる清掃工場が次々と建設されていった。
燃焼によって排出されるガスの温度は、焼却炉の出口では約一〇〇〇度にまで達し、諸々の技術を駆使して三〇〇度まで下げられる。
その後、燃焼エネルギーを回収できる施設で、ボイラー内の熱交換によって冷却がほどこされる。
ここで発生した蒸気が熱湯になり、清掃工場に隣接する建物に送られるか、排熱を供給するパイプラインを通って各家庭に運ばれるわけである。
排熱供給用のパイプは都市の地下に張りめぐらされ、通りごとに枝わかれしており、熱エネルギーはこのなかに設置された交換機を通って各家庭に届けられる。
ループ回路になっているから、蒸気や熱湯は冷却され、再び発生装置内に戻ってくる。
一九七三年の秋、中東情勢の悪化が引きおこしたエネルギー危機は、数カ月にわたって石油価格を四倍にはねあげ、それにつられて、あらゆる干ネルギーも高騰した。
このとき、家庭ごみの焼却エネルギーの回収とその有効活用への関心が高まった。
大量のごみを大規模な清掃工場で処理すれば、熱回収システムによりコストダウンがはかれるからだ。
フランス環境エネルギー庁の発表によれば、技術的・経済的理由から、清掃工場は年間で四万トンのごみ(少なくとも一〇万人の住民のごみ投棄量に相当する)を処理しなければならないとされている。
だが、清掃工場の建設業者らは、近い将来、工場の規模とごみの許容量との問題は区別されるようになると考えている。
しかしながら、一般的には、工場の規模が大きくなればなるほど、その分だけごみを収集する範囲がひろがるため、収集車はより長い距離を走行せざるを得なくなるだろう。
ナントにある近代的な清掃工場。
清掃工場の建設に際しては別の要素も見のがしてはならない。
なかでも、ごみエネルギーとこれを利用する人たちのニーズとの一致が問題となる。
理想的には、一年中、いつでも人びとがごみエネルギーを利用できることが望ましい。
たしかに、熱供給システムの要求量が少ない夏場であれば問題はない。
しかし要求量の多い冬場は、炭や薪、重油といった補助燃料の助けを借りなくてはならない。
一般にこうした問題は、パリ、リヨン、グルノープル、メッツといった大規模な熱供給システムを採用している都市で生じてくる。
利用者の多様なニーズに対応しながら信頼性も確保しなければならない点では、小規模のエネルギー供給網の方が実質的な価値は高いと言える。
規模の小さな供給システムであれば、小回りがきき、住宅地にも工場にも、あるいは夏場に多量のエネルギーを必要とする利用者がいたとしても、安定したエネルギーを供給できるからである。
住民への熱利用を可能にしている清掃工場は、その多くが人口密集地に設置されている。
パリ北郊に位置するサルセルでは一九七五年以来、毎年一〇万トン以上のごみが集合住宅用の補助燃料として利用されている。
ナントでは完全自動装置が熱湯の供給ラインに接続され、一万戸の家庭用ボイラーに燃料を供給している。
また、人口密度がそれほど高くない市町村でも、節約に努めて廃棄物の総合的な管理に気を配りながらごみを収集し、そのエネルギーを有効活用している。
たとえば、フランス中部にあるコレーズ県南西部のブリーヴ地区では、一九八〇年代に付近の市町村が協力しあって、産業廃棄物の焼却によって得た熱エネルギーを離乳食工場に供給した。
西部のフイニステール県では、三〇あまりの市町村が共同出資し、清掃工場を魚粉の製造所とドッキングさせた。
その他の小さな町や村でも独自のやり方を進めた。
藁や雑草といった補助燃料と組みあわせて熱供給システムを動かすというのもその一つである。
パリでは一〇人に一人がごみエネルギーを利用した暖房の恩恵に預っている。
パリ郊外のイツシー・レ・リノー、イヴリー・シュールリセーヌ、サン・ウエンにあるTIRU(都市廃棄物焼却処理会社)の三つの工場では、蒸気エネルギー分配システムを備えており、エネルギーの配給はパリの都市暖房会社によって委託・管理されている。
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